■付近一帯は傾斜地になっている。敷地は南面した角地にあり道路より約2.5M高く、北側隣地はさらに2Mほど高くなっている。初めて訪れたときは2Mの石垣と背丈以上の生垣で囲われて閉鎖的な印象だった。平面計画は角地部分の道路レベルに大型車2台のパーキングと表門を構築。アプローチは以前の位置を踏襲しながら既存の石垣を階段右に再使用した。門と石垣の間を低くしたことから色・形状を確認できる。 敷地レベルではパティオを挟んで西棟と東棟に分離する2世帯住宅の平面形である。
■ 西棟はご母堂の住まい。LDKのコーナーにベッドを配したコンパクトな間取りでパティオと仏間に向けて開口していない。東棟は玄関ホール・階段ホールからLDK、さらに上階のギャラリー、フィットネスまでを連続した大きな空間で構成する。そしてフィットネスから先に脱衣室、シャワー室を進むと南面した一枚ガラスのバスルームに至る。屋上に位置するバスルームはブラインドは不可欠だが、傾斜地にあって見晴しはよく、大屋根とパンチングスクリーン+デッキでジャグジーは楽しめそう。バスタブはスタルクデザイン。
■ディテールでは東棟LDKは開口を上下いっぱいに確保、左右のサッシ額縁を見付70X奥行105に加工して上部は天井に埋め込み、その中にプリーツ網戸を収納している。リビングとパティオの床段差は水仕舞をした20ミリになっている。また、壁と床の接する部分に巾木はない。そのためすっきりした感じがする。コンクリート打ち放しの品質は期待を下回っている。ステンレス階段と玄関庇は「覚王山の家」のディテールをトレースした。 |