敷地は急速にひらけてきた地域にあり、周辺の人口密度は高い。1階にイタリアレストラン、2,3階が歯科医院の複合建物で、ユニット8台収容の大きな診療所である。 円の形態は多人数の診療を効率よく行なう方針から発生。両サイドの敷地境界に沿って6本の柱を並立させ、梁と柱の領域に円を定置。コーナー部でボイドな空間をつくり自己の境界領域と円の存在を明確にする。内部は円心を取り巻いたコア部分と周壁に沿った診療ブースで構成する。待合室はコアと直線的につながり、コア部分は正面の受付と背面に控室とセンターコアサプライ方式(CCS)の消毒・準備コーナーからなる。CCSは、円の特性を生かして、どのチェアーからも近い位置にあり効率よい診療を実現する。診療室は外部の雑音を排除して、落ち着いた空間にする意図で壁面開口を小さくして、天空光主体のトップライトを円形全体に展開した。チェアーからの天空は日々新鮮である。技工室は技工所機能をそなえた規模の大きなもので、診療室とは廊下を通して独立している。また、3階はスタッフ関係の室があり、研修室は会議に利用するなど地域住民に開放する計画もある。 |