敷地は名古屋駅より西へ約10kmに位置する・周囲は道路より1m低いレベルで水田がつづく見通しのよいところである.北側は幅23mの計画道路に面し,新たに1.3m盛土してフラットに 造成した.
敷地の南側約1/3を次期計画として住居用にあて,北側の820平米をクリニック用地とした.西側はスタッフのパーキングスペースと診察室からの植込みになっている.東側は外来用の駐車場として大きく開放して,建物は敷地のほぼ中央に位置する.
まず,間口4.65m,奥行20.92mの診察室を中心にした空間を南北に長く配して主軸とした.長方形の主軸は受付から変化して1/4の円を描いて玄関になり,その内側に半円で待合室を構成する.
直線部で屋根は切妻形をしているが,円周部からフラットルーフになり,上部はポイドなフレ ームで道路に向かって象徴的な形態をみせて,ここで円周壁と同化する.南端でも同一形をつくるが,ここでは増築可能なエンドレスの状態である.
この南北に長い主軸から,東へ向かって3本の直方体が突出する.それらは両端と中央で幅が異なり,それぞれは機能ごとに分離することにより,長辺の主軸に対してクリニックの動線上バランスよく位置し,通風・採光などの室内環境もよくする.そして直方体の間に発生するふ たつの凹み(2.8×4.35)は出入口のみならず小児歯科のプレーヤードとして外部領域を内的化する第三の空間を造り出した.
この主軸空間と突出した3本の直方体との構成は,三角屋根とフラットルーフで形態を特徴づけて対比させ,水平に延びる稜線が四周に主軸の存在を明確にする.そして素材をコンクリート打放しと白色タイルに使いわけ,直方体を対 峙させていり込みの空間を有機的に語らせた. (松本直高)
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