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ソフィア歯科クリニック - 医院建築24号

待合室・受付の中央に設けた吹抜けのガラスボックス「光やぐら」が住宅地のランドマークに、機能とゆとりの高次元融合空間をコンセプトに、落ち着いた密度の濃い診療態勢を打ち出す。

       

医師からひとこと
ソフィア歯科クリニックを開業してほぼ9年が経過した. 今も松本氏にはメンテナンスなどでお世話になっている. 小さな手直しにも誠実に対処して項き,たいへん有難く思っている.
着工の数カ月前に阪神淡路大震災があり,建築資材などにその影響が出はしないかと心配したことが懐かしく思い出される. 幸い工事に遅れは出ず,予定通り開院にこぎつけることができた.
私自身建築が好きであり,一日の中での多くの時間をすごす空間には,ことのほか思い入れがある.この診療所にはたいへん満足している.      (上田富士男)


施主との出会いは24年前に建築雑誌がきっかけで,ウエダ歯科クリニック(本誌第6号)を設計した.その後,住宅設計などで今回は4度目の仕事となった.
ソフィア歯科クリニックは,「機能」と「ゆとり」の高次元融合空間がコンセプトである.
名古屋市東部の住宅地にあり,住環境は良好で広い表通りに面した角地に位置する. 敷地はほぼ正方形で,郊外型医院として駐車スペースを多く確保. 歩道に沿って東西に長い平面形である.
敷地角に対して45°に壁面が張り出す. ここに待合室を配して核にした. さらに,張り出しの起点に柱を直立,上部はポイドな正方形フレームになる. その中に45°戻して道路と平行にスクエアなガラスボックスを格納. 内は吹抜け空間で中心は受付・待合の中心と合致する.
「光やぐら」は住宅地にあって敷地周辺から一目瞭然,角度の組み合わせは見る位置により楽しく変化する.昼間は自然光が明るく入り込み,患者にやさしい印象を与え,黄昏からは逆転して照明効果が外に対して医院をアピールする.
診療ゾーンは中央部に位置し,受付より廊下を右に小児診療室と奥は一般診療室になる. 小児診療室はフロストガラスのスクリー ンでやわらかく区画する. 一般診療室は勾配の吹抜け天井や大きな採光窓でひろがりと明るい開放感を,診療ブースはゆったりしたスペースにL型の診療家具とKAVOのユニットで落ち着いた,密度の濃い診療態勢を打ち出す. さらに奥は,消毒準備,技工,収納などの診療補助ゾーン. 最奥はスタッフルームと多目的室になる.両室は東端外部のアルコーブ状の 通用口で合流する.
2003年に内装などをリニューアルした. (設計者・松本直高)

編集=建築思潮研究所
発行=建築資料研究社(03-3986-3230)
発売=彰国社(03-3359-3231)

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