「デザインがよくても儲かりまへん」このことばは端的に大阪らしさを表現していると思います。
中小企業の多い大阪は経済の高度成長期に個人経営のみせから会社組織にして木造の社屋を建てかえ
た。その多くは、ゆとりや斬新な発想はなく、また
都市を構成する個の自覚や意識はうすかった。いか
に敷地いっぱいに建てるかが問題であり、従来のみせを鉄筋コンクリートで複層化するぐらいしか発想はなかったようです。デザインに力を入れることをムダで「ええ格好しい」ときめつけ軽薄視した。そして実利を重視するあまり内部には金をかけるが形態や植込みなど外部空間には十分なコストを配分しない例が多かった。
このようにええ格好しないことが現実的「大阪らしさ」と思われて今日まできたが、結果として都市は雑然としてうるおいがなくなり、経済の地盤沈下や市民のスプロール化などゆきづまりの局面が顕著にあらわれてきたといえます。そこで当然のことですが、街並や都市景観にデザインを重視する姿勢から魅力が生まれ多くの人々をひきつける、それが儲かる原動力になることが明確になってきました。そして職と住がバランスのとれた質感と感性のある大阪にすることです。大阪人はこれまでの内に向けた姿勢を外に向けて都市とかかわり実利主義の合理的でよい点を前面にうち出すべきです。それにはまず身近かな街並の再活性がたいせつです。雑然とした街並に現代のハイセンスな感覚をふきこみリフレッシュすることでクリエィティブなゾーンに再生することは可能です。しかし、うすっぺらでどこにでもあるデザインではだめです。泥くさい庶民性を与件にした合理的で本質をつく発想が新しい大阪らしさの基本です。それらはかっての”なにわ”を残す界隈と対比して大阪を有機的にネットワークさせて奥行をつくりだします。いま「ええ格好」をすすめることで大阪は可能性がひらけていきます。 |